「便利屋さんのお仕事あれやこれや」<家具の組み立て><クラクラシマシタ>

家具の組み立て(クラクラシマシタ)

僕は本業の合間に「便利屋さん」 の仕事を手伝っている。
と、言っても非力で何の技も持たないので「ホームページの管理」と「時々、電話の取次ぎ」そして「雑用」ぐらいだ。

おっと、電話が鳴った。

「ソファーベッドを組み立てて欲しいんです。うっふん」
その声はセクシーだった。
少しハスキーで、艶があって、電話口の向こうから甘い匂いが漂ってくる様だった。


「工具も全部付いてるので、手ぶらで来ていただいて結構よ」
一瞬「手ブラ」と聞こえた。
電話の主がスッポンポンで、手をブラジャー代わりにしている姿が浮かんだ。

電話を切って眼を閉じた。
「さあ、奥さん、ソファーベッドの完成です」
「ありがとう、なわないさん。あなたのおかげで助かったわ」
「さあさあ、座り心地を確かめて下さい」
「あら、ここち良いクッションだこと」
「横になって寝心地も確かめて下さい」
「ああん、いい気持ち」
「僕もいい気持ちになりたいです」
「私もそう思っていた、と・こ・ろ」
「がばっ」

いかん、この仕事は僕一人で行く!
抜け駆けだと言われようが、卑怯者と罵られようが、手ブラが待っている!

しかし、本当に組み立てられるのか……。
目玉焼きも満足に作れない僕が、ソファーベッドなど組み立てられるのか?
まず、無理だろう。
声がセクシーでも外見は大したこたあないだろう。
手ブラと言っても、垂れてるんだろう。
第一、夜の8時に来いって、そんなの怪し過ぎるではないか。
ああ、そうだ、こんな女はヤクザの女に決まっている。一人で行くのは危険過ぎる。
それとも、オカマか?オカマの声はハスキーが多い。
(諦めるのに、かなり時間がかかった)

えーい、くそーーー!

「あーあ、ソファーベッド組み立てて欲しいって」
いつもの様に便利屋の大将に連絡した。
「そうか、なわないはんは、その時間、空いとるか」
「別に用はないですけど」
「いやな、ソファーベッドの組み立て方ぐらい、覚えといた方がええかなと思てな」
「そうですね」
どんな手ブラ女性か見てみたい事もあって、僕も行く事にした。

そして当日、夜の8時。
マンションのチャイムを鳴らし、出てきた女性は……。
その声はセクシーだった。
少しハスキーで、艶があって、電話口の向こうから甘い匂いが漂ってくる様だった。

いいや!
それ以上だった!
クラクラしてしまった。

「ごめんなさい、今帰って来たばかりなの。着替えるから待ってて下さい」
ああ、壁の向うでは、今、まさに手ブラ状態……。

「あらー、本当に器用ですねえ、ご主人」
「あったりまえやー。こんな用事、へのカッパや」
テキパキとソファーベッドを組み立てる大将。
その横で大将の仕事振りを眺める、ラフな部屋着に着替えた艶かしい女性。
そして、
その隅でゴミを集める僕。

「すみません。ソファーベッドを組み立てる工具を下さい」
次の日、僕はホームセンターへ走った。
必ずや訪れる、次のチャンスを逃がさないために!




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なわない 【おとなの絵本】

Author:なわない 【おとなの絵本】

スピーチライターやってます。

「うらない」じゃなくて、「なわない」
うらないとかに頼らずに、自分でなわなう。
うらなわないから、なわない。

おとなの絵本の作者です。





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