「便利屋さんのお仕事あれやこれや」(電気の傘の取替え)

電気の傘の取替え

去年の9月から始めた「神戸の便利屋さん」
広報担当の僕は、当初、何をやっていいか分からないので、まずはチラシを作ってみた。
そして、テスト的にいろんな地域にまいてみた。

いわゆる富裕層と言われる人が多く住んでいる芦屋市から、庶民の町と言われている神戸の長田区や兵庫区。
便利屋の大将はチラシの効果を心待ちにしていた。
「なあ、なわないはん。芦屋の金持ちからバンバン仕事が入ったら大儲けやで」
結果は違った。
問い合わせはほぼ100%、下町。
それも、市営住宅や県営住宅に住んでいる人たちの問い合わせがほとんどだった。
「なるほどなあ、金持ちはケチなんやなあ」
大将の落胆ぶりは、なかなかなものだった。

「チラシを見たんやけど、電気の傘、換えてもらえんやろか?」とのTELを取った。
「電気の傘、って?シーリングの事ですか?」と僕。
「ああ、そうや、それや」
てっきり僕は特殊なシーリングで、特殊な工具か何かが必要なのだろうと思った。
そして、早速、便利屋の大将にTEL。

「電気の傘を換えて欲しいそうなんですけど」
「そんなもん、自分で換えたらええやろ」
「ところが、お金払うから来て欲しいって、言ってます」
「何やら怪しいな。なわないはん、念のため、あんたも付いて行ってくれへんか」

たどり着いた場所は、やはり市営住宅だった。
チャイムを鳴らして部屋の中に入った。
ああ、そうだったのか……。
謎が解けた。
「車椅子」だ。

ベッドが乱れている。
「自分で換えようと頑張ったけど、無理やったんや」
特殊な工具なども使わず、大将が、ものの数分、いや数秒で付け替えた。
僕は、こっそりと大将に耳打ちした。
「これって、お金、もらってもいいもんでしょうか?」
と、大将が毅然とした態度でこう言った。
「あほっ、これはなあ、ビジネスなんや。変な同情なんかしたらあかん」
「そう、そうですね」
ちょっと厳し過ぎる気もしたが、確かに大将の言う通りでもある。
が、大将。
「おっさん、ほかの電気の傘、いつ換えるんや」
「暮れにあと3箇所、換えたいんやけど、また、来てくれるか?」
と、便利屋の大将がこう言った。
「ついででええんやったら来たる。ほんでからな、わしらはもう友達や。そやから次からは金なんか取らんからな!」

ああ、この大将と一緒に仕事をしてよかった。
と思う反面、この人と組んでいても絶対に金持ちにはなれないだろう。
そうも思った。



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コメント

いい話やなぁ~(^_^)

へっけさんへ

こんにちは

おかげさまで、これからも貧乏な二人組だろうと思います。(笑)

えー話や 大将、男前やなー

芦屋のお金持ちゆうたら
あの震災んとき電気がつかん真っ暗な街で
自警団、ゆうてもお金で雇った人らに夜回りさして、
自分等は一泊2万のホテルに避難生活してたとこやて、関東にまで聞こえてきてますー

Re: えー話や 大将、男前やなー

ほんとにお金持ちの依頼って少ないです。
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まとめtyaiました【「便利屋さんのお仕事あれやこれや」(電気の傘の取替え)】

電気の傘の取替え去年の9月から始めた「神戸の便利屋さん」 広報担当の僕は、当初、何をやっていいか分からないので、まずはチラシを作ってみた。そして、テスト的にいろんな地域にまいてみた。いわゆる富裕層と言われる人が多く住んでいる芦屋市から、庶民の町と言われ?...

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