「ねえ、僕を叱って……」

「ねえ、僕を叱って……」

僕は自営業なので、上司とかいないので、誰にも叱られることはない。
そのかわり、一人なので、誰を叱ることもない。

さっき、やっと資料が出来て、よし、終わったと、ホッチキスでとめようとしたら、

『すかっ』
(……針がなくなってた)

「自分によくがんばりました」の気持ちが、一気に萎えて、
作った資料の左端には、ぎゅっとホッチキスの形だけ。

なんじゃ、この虚無感は……。

はあーーーーー

こういう時、大企業の社長は「おらー、なんでわしのホッチキスの芯を絶えず補充しとかんのだ!!」
と、辺りかまわず叱りまわるのだろなあ。
うらやましいなあ……。

文房具屋へホッチキスの芯だけを買いに行きながら、そんな事を思うと、何だか社会を羨(うらや)んできた。

いやいや、そんな後ろ向きな気持ちはだめだ。

そうだ、この際、社員を雇えばいいではないか!

こんな感じだ。

「恭子くん、29歳、来たまえ、私のホッチキスが『すかっ』となったではないか!
芯がないではないか!」
「申し訳ありません、気が付きませんでした」

「いいや、許さん。私は君をホッチキス管理のみに雇ったのだ。
この落とし前、どうつけてくれる。だから僕は君を叱っているのだ」

「ああ、申し訳ありません。この私で償えるのであれば……」
「ケケケ」

ここはそんな場所。そんなことをする所。

さあ、頑張るるるるるる!!!!

はあはあはあはあ






『すかっ』

あらっ……。





「おっさん、この場に及んで『すかっ』はないだろ! 私のこの虚無感どうしてくれるの」
「いやあの、その、ごめん、恭子君29歳。このところ、睡眠不足と飲みすぎがたたって……」


<おまけ>
「すかっとさわやかこかこーら」と叫んだがもう遅い。

<おまけ2>
そして、僕は僕の分身を叱ったが、ずっと、うなだれたままだった……。







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コメント

そやからオッサンて つまらんことで 叫ぶんやな

地球の真ん中で 『すかっ』を 叫ぶ

せやけど なんで恭子…?

かめさんへ

おっさんは切ないのです。
すかーーーーーー!!!
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プロフィール

なわない 【おとなの絵本】

Author:なわない 【おとなの絵本】

スピーチライターやってます。

「うらない」じゃなくて、「なわない」
うらないとかに頼らずに、自分でなわなう。
うらなわないから、なわない。

おとなの絵本の作者です。





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