泣いた盆踊り

泣いた盆踊り

仕事をしていると、いきなり大音響で「炭鉱節」が流れてきた。
ああ、近所の公園の盆踊りか……。

まあ、うるさいけど仕方がないか。

炭坑節に始まって、
アラレちゃん音頭
ドラえもん音頭
一休さん音頭
ソーラン節

ドンドン・パン・パーンと、リズムにあわせて、仕事をしていると、思い出した!

泣いたんだ、あの時、僕は!!

024.gif

親と一緒ではなく、初めて友達同士で行った盆踊り。

引っ込み思案の僕は、公園の隅で、遠巻きに見ていた。

「僕、こうやって手え振ったらええだけやで」
見知らぬおばさんが言う。
「早よ踊ろーやー」
と、友達たちが僕を引きずる。

無理やり入れられた盆踊りの輪。
大音響だった。
ものすごい熱気だった。
やぐらが高かった。

「こうや、そうそう」
友達が、僕に振り付けを教える。
「そうやそうや、うまいもんや」
「うん、うん」

0824-100_convert_20090824202742.jpg

流れてくる音頭に合わせて、僕はギクシャクと踊った。
「うまなったなあ」
「えへへ、気持ちええもんやなあ」
友達にほめられて僕は上機嫌になって、踊った。
汗びしょになって、次から次へと踊った。

「こら、ええもんや」
普段、恥ずかしがり屋の僕はどこへ行ったとばかり、踊った踊った。

…………そして、泣いた。

「さて、いよいよ最後の曲です」
スピーカーから、甲高い女の人の声が流れた。

「最後って、何や?」
「最後は終わりのことや」
「盆踊りは仕舞い、そう言うこっちゃ」
「いやや、そんなん」
「いやや、言うても、終わりは終わりや」
「いやや、いやや、せっかく盆踊り好きになったのに」

僕は、あたりかまわず大声で泣いた。

「また、来年、来たらええやん」
慰めてくれる友達の輪の中で、僕は泣いた。

「来年まで待たれへんわい」

その時だ。
キーンと言うマイクの音に続き、さっきの女の人の声が響いた。

「盆踊りの大好きな子供が泣いていますので、あと、一曲、アンコールです。ただし、時間が過ぎてますよって、小さい音でかけますからー」

おー、と会場から声援が起きた。

小さな小さな音量で、
月がーでたでーたー
炭坑節が流れてきた。

「お前、すごいなあ」
「よかったなあ」

僕は、うんうんと頷きながら、しゃくりをあげて炭坑節を踊った。

024.gif

あれから、何十年。
こんな出来事もすっかり忘れていた僕。

もうすぐ、九時。
盆踊りの終わりの時間。


あの時、泣きじゃくっていた僕……。


今から、盆踊りの輪に入って見れば、あんな自分に戻れるかも知れないけど……。



<ブログランキング>
こんな話をおきに召されたら、ランキングのボタンをクリックしてくださいな。





コメント

40年たつと もお 性格がすっかり変わってもうて 舞台でギターは弾くわ すけべblogは書くわで

せやけど ええ お話やー

かめさんへ

今、盆踊り会場の帰りです。
40年ぶりに泣きじゃくってきました。
非公開コメント

プロフィール

なわない 【おとなの絵本】

Author:なわない 【おとなの絵本】

スピーチライターやってます。

「うらない」じゃなくて、「なわない」
うらないとかに頼らずに、自分でなわなう。
うらなわないから、なわない。

おとなの絵本の作者です。





にほんブログ村 動画紹介ブログへ


★★★★★★★★★★★★★

リンク