プロのだみ声

プロのだみ声

高校生の頃、一緒にバンドをやっていた友達と久しぶりに飲んだ。
彼はボーカルで、僕はギターだった。
ひとしきり酔っ払って、彼の家にあったフォークギターで、当時の歌を僕は唄った。
でも、ボーカルだった彼は唄わない。
「お前の声は変わらんなあ」
と、しんみり言う。

彼は果物屋さんだ。
高校を出てからずっと、果物屋の店先で
「いらっしゃいいらっしゃい、安しまっせ」と叫んできたおかげで、
あの、市場のおっさん独特のだみ声になっている。
「高い声なんか、ぜんぜん出えへんわ」

彼は大人になっても会うたびに「プロになるんや」と言っていた。
でも、本当は、彼は果物屋に勤めた時点で、「唄」は捨てたのだろう。

「いらっしゃいいらっしゃい、安しまっせ」
歌手にはなれなかったけれど、果物屋のプロになった彼のだみ声は、明日も市場の中を駆け巡る。
そして、彼のだみ声につられて、バナナやりんごが売れていく。

<おまけ>
彼は、今年、お店を持ちました。
神戸は東山商店街の中の「玉田商店」です。
これを見た方、もし近くに寄れば、彼のだみ声につられて、果物買ってやって下さい。



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プロフィール

なわない 【おとなの絵本】

Author:なわない 【おとなの絵本】

スピーチライターやってます。

「うらない」じゃなくて、「なわない」
うらないとかに頼らずに、自分でなわなう。
うらなわないから、なわない。

おとなの絵本の作者です。





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